2021年12月24日
昨今、年金財政が厳しくなり、今まで経済的な理由で社会保険に加入できなかった小さい規模の親族だけの株式会社にも、社会保険に加入するように強い圧力を加えるようになってきました。
小さい規模の同族会社にとっては、自分たちの将来を考えたら、少しでも多額な年金が保証された方が良いのは分かっているのだけど、生活できないとどうしようもないので、社会保険料を負担できなくて、仕方なく国民保険のままにしている例もあると思います。
本人が60才以上70歳未満で年金加入期間が480か月を満たしている場合では、厚生年金保険料の基礎年金部分は無駄払いになります。
会社が社会保険に加入せざるを得なくなった場合に、社会保険に加入しない方法があります。
1つは、会社を株式会社で無くする事です。株式会社でなければ社会保険に加入しなくても大丈夫です。ただし、従業員が多い場合は株式会社でなくても社会保険に加入しなければいけません。
もう1つの目の方法は、会社は社会保険に加入しても、役員であれば非常勤の役員にしてしまう事です。非常勤の役員は社会保険に加入しないで国民保険のままでも良いんです。
ただし、社長は非常勤ではいけないという事になっています。
本当に、社長は非常勤ではいけないのでしょうか?
という訳で、ネットで調べると、社長を非常勤にする事になんら問題が無いというというのが一般的な見解のようです。
https://www.soumunomori.com/forum/thread/trd-117821/
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/4539354.html
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1013718235
https://kigyosapo.com/officer-1
念のため、年金事務所に問い合わせしてきました。
年金事務所の職員が言うには、代表取締役社長は非常勤の役員になれないとの回答でした。
基本的に、年金事務所の職員が言う事は、あてになりません。
過去にも、年金事務所の職員に知識が無く間違った事を言ったり、知識が無く正確な回答ができないという事が、何度かありました。年金事務所の職員って、応対は親切なのですが、日々の業務に追われて、勉強をしていなく向上心が無い人が多いという印象があるのです。
それで、代表取締役社長は非常勤の役員になれないという主張の根拠になる文書のコピーを提出してくれるように頼みました。
今年は残り3日しか無いので、今年中に答えることができないので、来年になってから回答するという事でした。文書のコピーを郵送してくれるということでした。
ついでに健康保険を脱退して国保に加入する場合、月初めが良いのか、もし途中で切り替わった時にはデメリットがあるのか聞いてみました。
月末の状態が、反映するので、月初めであろうが、月の途中であろうが、影響は無いということでした。
ちなみに健康保険を脱退するには、社会保険事務所へ健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出するだけでよく、特に添付書類は必要ありません。
健康保険を脱退して、国保に加入する場合、会社の捺印がある検討保険資格取得・喪失証明書があれば、市役所で、その日のうちに国保の保険証が発行されます。
2021年12月29日
社会保険事務所より、代表取締役社長は非常勤の役員になれないという主張の根拠になる文書のコピーと称されるものが郵送されてきました。
1つは、日本年金機構の疑義照会回答(平成23年10月公表分)で、法人の代表者の被保険者資格について、定期的に出勤しない場合でも加入したいという立場からの質問です。
これは全く根拠にはなりません。
その他に、広島高判岡山の昭和38年9月23日とのメモがありました。
ネットで検索すると原文が掲載されていました。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/687/024687_hanrei.pdf
内容を読むと法人の代表者は健康保険に加入しなくても良いかという裁判で、労災上では法人の代表者は労働者は無いと判断されているので、る労働者保険である健康保険にも加入しなくても良い事の確認です。
1審では加入しなくても良いと判決が出たけど、広島高判では逆転したという事のようです。
でもこれって、代表取締役社長は非常勤の役員になれないという根拠にはならないですよね。
結局は、代表取締役社長は非常勤の役員になれないという主張の根拠になる文書は存在しないという事だと思います。