会社に勤めてると、一般的には厚生年金に加入する事になります。厚生年金の場合は、国民年金分の他に厚生年金の比例分を負担する事になります。でも、国民年金分と厚生年金の比例分の合計額の半分は会社が負担してくれます。つまり国民年金だけの人より年金は随分たくさん貰えることになります。
厚生年金に加入すると同時に、労災保険、社会保険、雇用保険に加入する事になります。
そのうち、労災保険は会社が払ってくれ、雇用保険は会社と双方で払い、社会保険も会社が半分払ってくれます。
国民年金の人は労災保険や雇用保険は原則的には加入していない場合も多いと思います。
さて、国民年金だけの人と比べて、厚生年金(健康保険)に加入している人がいかに人生における保障が厚いか知らない人が多いと思います。国民年金の人には無くて、厚生年金(健康保険)の人にはある保障制度をピックアップします。
傷病手当金
傷病手当金病気・怪我で仕事を休み、事業主から十分な報酬が得られない場合、4日目から最長1年6か月間、標準報酬月額の3分の2が支給されます。
出産手当金
出産のため仕事を休み、事業主から十分な報酬が得られない場合、出産前42日、出産後56日標準報酬月額の3分の2が支給されます。
育児休業給付金
出産休業終了後に1歳未満の子を養育するために育児休業を取得すると賃金の67%が支給される。
加給年金
厚生年金に20年以上加入した場合、厚生年金受給者に65歳未満の配偶者または18歳以下(18歳になって最初の3月31日まで)の子がいる場合は加給年金(年額20万円超)がもらえます障害厚生年金
病気やケガで障碍者になった場合、国民年金の障害基礎年金に加えて障害厚生年金が給付されます。加入期間が短くても300か月加入しているとして障害厚生年金額が計算されるので、かなりの額になります。
遺族厚生年金
厚生年金加入者が死亡した場合、妻(30歳未満で子が無い場合は5年間のみ受給、30歳以上は65歳まで受給)・夫(55歳以上が要件で60歳から受給)・子(18歳まで)、父母、孫、祖父母の内、優先順位が最も高い人には、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が受給されます。加入期間が短くても300か月加入しているとして遺族厚生年金額が計算されるので、かなりの額になります。ちなみに国民年金の遺族基礎年金は18歳未満の子供がいる期間のみの受給なので、それと比べると随分優遇されています。但し、妻が再婚すると遺族基礎年金も遺族厚生年金も支給停止になります。
中高齢寡婦年金
厚生年金加入者の夫の死亡当時、40歳以上65歳未満の子の無い妻、または子があっても40歳以上65歳未満で遺族基礎年金をもらえない妻は遺族厚生年金に60万円程度の中高齢寡婦年金が加算されます。
配偶者の国民年金
厚生年金加入者の配偶者の収入が130万円未満の場合は、配偶者の分の国民年金は、厚生年金から支給される形になるので、支払う必要はありません。
関連の保障として、労災保険では(国民年金のみ加入者でも加入できる)
療養補償給付(療養給付)
業務上の病気・怪我について医療費が無料(通勤時は初診時のみ200円の負担あり)
休業補償給付(休業給付)
業務上の病気・怪我について1年6か月まで4日目から給付基礎日額の60%(実際には+20で80%)が支給される
傷病補償年金(傷病年金)
業務上の病気・怪我について療養開始後1年6か月経過後は、傷病等級1級から3級に傷病補償年金(傷病年金)が支給
障害補償給付(障害給付)
業務上の病気・怪我について療養開始後1年6か月経過後、障害が残った場合に支給
介護補償給付(介護給付)
業務上の病気・怪我について介護を要する状態で介護を受けている場合に支給
遺族補償給付(遺族給付)
業務上の病気・怪我について死亡した時、遺族に対して遺族基礎年金・遺族厚生年金に加えて遺族補償給付としての年金が支給されます。
関連の保障として、雇用保険では(国民年金のみ加入者でも雇用されていれば加入)
求職者給付(基本手当) 失業保険とも言う
倒産・会社都合での解雇の場合は離職前の1年前に被保険期間6カ月以上あれば90日間支給される
20年以上の被保険期間があれば、自己都合・定年退職の場合は150日、倒産・会社都合での解雇の場合は年齢によって最長330日間支給される
金額は一般的には50%程度です
このように国民年金のみの加入者には無くて、厚生年金(健康保険)の人にはある保障制度がたくさんあります。
厚生年金に加入していない会社に勤めるなんてありえません。
もし、娘が、国民年金のみの加入者と結婚するという話が出たら絶対に反対します。
厚生年金に加入していない会社に勤めているのなら転職する事をお奨めします。今は人手不足なので、転職のチャンスです。
厚生年金に加入していない会社が2015年末に80万社程度あったのですが、年金財政の悪化から、厚生年金に加入していない会社に対する対策が厳しくなっていて、少なくなりつつあるようです。