交通事故被害における賠償請求

家族が交通事故の被害や加害の立場になった時に、損保会社と交渉した事を記録しています。

自賠責の保険会社に直接請求する自賠責請求

交通事故を起こして賠償交渉が必要になったった時に、普通は任意保険の損保会社に交渉を頼みますが、賠償において金銭が1円でも動いた場合には損保会社の等級が下がってしまいます。
通常何もない場合は毎年等級が1つ上がりますが、交通事故を起こした場合は、だいたい等級が3つ下がります。つまり4級の差があるという事です。
基本の6級から一度事故を起こして、3級下がってしまうと、事故を起こさなかった場合と比べて、20年間で236%の差が出ます。ということは230400円の差が出るということです。
つまり23万円より安い事故は損保会社に金銭的な負担をさせないで、自己負担にしたほうが結果的に得だということです。
ちなみに対人の賠償(医療費や慰謝料を含む)は120万円までは自賠責保険から100%補償されるので、それほど大きい事故では無くて、物損の補償が23万円以上で無ければ、自賠責の保険会社に直接請求する自賠責請求を利用したほうが有利なようです。

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2007年3月16日

家族が自転車に乗っていた途中にあった事故について、自賠責の保険会社に直接請求する自賠責請求という選択もあると知って調べてみようと思いました。

とりあえず、自動車保険請求相談センターでの弁護士による相談に行ってきました。

今までの経過の説明と、こちらの聞きたい事の概略を説明しました。

被害者の過失が大きい場合、医療費とか基本的な慰謝料は自賠責で100%賠償されるけど、自賠責で賠償されない任意保険の部分の物損や加味的な慰謝料については、自賠責の賠償額と実際の損害額に、そんなに大きい差が無い場合は、貰えない場合が多いそうです。

例えば、自賠責の対象になる額が最大限度の120万の場合、医療費など120万円100%が過失割合と関係なく貰えます。自賠責での賠償額を含めた実際の損害費用(付き添いや物損など、自賠責以上の損失も含める)が150万円とします。被害者の過失が40%とすると自賠責の賠償額と実際の損害額の差額の30万円の60%を上乗せしてもらえる訳ではありません。日新火災海上保険は自賠責の賠償額を含めた総額150万円の60%で計算しますので90万円分しか算定してもらえません。この場合、自賠責で貰った額の返還を求められる事はありませんので、結局、自賠責分の120万円だけ貰えて任意保険の会社からビタ一文貰えません。入院の医療費とかは保険会社が立替払いをしてますので、その分を差し引いた額だけ支給されるということになります。差し引かれる医療費は、健康保険で安くなった30%分だけ差し引かれるわけではなく、医療費の100%分を差し引かれて支給されます。
そういう場合、先に自賠責だけ被害者請求で先に請求し、任意保険の分は別に交渉するという方法もあるそうです。

2007年3月19日

自賠責保険の被害者請求について、確認したいことがあったので再び電話で問い合わせしました。

自賠責保険の被害者請求をする場合は相手方の日新火災海上保険に一括請求の解除の申し込みをしないといけないそうです。ただ、自分で自賠責請求の手続きするのは、面倒なだけでメリットがないと強調してました。

2007年4月2日

今日、日新火災海上保険から、電話がありました。通院も終わったということで、示談の交渉を始めましょうかという申し出でした。

自賠責保険の賠償を先に済ませたいんですが、日新火災海上保険のほうで、自賠責保険の賠償交渉だけ先にしていただけませんかと提案したんだけど、任意保険の会社では、自賠責保険会社との交渉はできなく、任意保険との交渉を、一旦打ち切って被害者側が単独で自賠責保険会社に賠償請求をしないといけないということでした。まあ、そう言われるのは予想してたんですが。

自賠責保険への被害者請求をするしないは別として、日新火災海上保険の賠償についての提案をさせていただきたいというので、話だけは聞きましょうということで2週間後以降に連絡してもらうことにしました。

2007年4月18日

今日、日新火災海上保険と、具体的な賠償請求の相談としては初めての交渉がありました。

今までの経過と、かかった医療費、物損したものの価格、付き添いなどに要した労力、精神的負担の根拠、自賠責に算定できそうな項目について調べた資料を書類にしたものを提出しました。

その書類を見て、物損に関しては、自賠責保険と切り離して算定すると言ってました。

また今回の賠償について、自賠責保険で算定した場合と、任意保険の基準で算定した場合と両方の算出結果を提出するとのことです。

2007年5月7日

今日、日新火災海上保険から賠償額の査定の書類が提出されました。

病院の診断書(退院時のものと診療が終わった時のものの2通)や保険会社が立替払いした医療費の領収書のコピーは必要ですかと聞かれたので、コピーさせてもらいました。

賠償額の査定の書類には自賠責の査定での賠償額(損害額の100%)と日新火災海上保険が査定した賠償額(損害額に過失分の割合を差し引いたもの)が書かれていて、その他に物損の損害額(過失分の割合を差し引いたもの)が書かれていました。

今回、日新火災海上保険の査定した賠償額のほうが自賠責の査定額より大きいのですが、こちら側の過失が大きいので過失分の割合を差し引くと、自賠責の査定額の方が高額でした。
物損の損害額(過失分の割合を差し引いたもの)は別途査定されるので、日新火災海上保険の提案は、自賠責保険の査定での賠償額に物損の損害額を加えた額で示談にしたいということでした。

その他の慰謝料の査定で、家族を学校に送迎した事や、退院後、自宅で寝たきりになっていた事や、退院後の通院について通院の日数は少なかったけど、2ヶ月に1度の通院という事で期間が長かった事について、まったく考慮されていませんでした。

通院の頻度が極めて少なく期間が長い場合は3.5倍の日数として計算するのが一般的ということだったのに、そういう事がまったく考慮されていませんでした。1週間に6日通院して完治したのと、1年に6日通院したけど完治していないのと同じ慰謝料というのは、どう考えてもおかしいです。

退院時に、症状が重くて寝たきりになっているのに病院での治療方法が無く、自宅療養と病院での入院は同じ治療効果しかないから退院したということなのに入院日数だけで慰謝料を決めるというのは、どう考えてもおかんしいです。

整形外科の医師が通学時に送迎が必要ということだったし、片目で体もふらふらしてて体育もできない状況で、通学の坂道も急で自分だけでの通学が不可能なのに、通学の送迎についても、査定の対象になっていないというのは、おかしいです。

任意保険で、多少、査定額を増やしても、過失が多いので、自賠責の賠償額には及ばないので、自賠責の保険会社に直接交渉したいということで、自賠責の保険会社の場所と連絡先を教えてくれるよう要求しました。

自賠責保険は農協共済でした。所在地と電話番号も聞きました。相談するには、自賠責証明書番号と自動車登録番号も必要だという事で、そちらのほうも教えてもらいました。

日新火災海上保険が査定した自賠責保険の賠償額査定について入院諸雑費は1100円で計算してありました。
通院交通費は自宅から病院の距離に15円/kmで計算してありました。
付き添い費はゼロ、通学付き添いはゼロ
慰謝料は入院および通院の日数を加えた日数と224日のうち少ない日数(今回は入院および通院の日数を加えた日数)×2×4200円で計算してありました。

これは実際に自賠責保険の保険会社が査定した賠償額ではなく、日新火災海上保険が自賠責保険だとこれくらいの賠償額になりますと主張している額です。

これはやっぱり自賠責の保険会社に確認してみないと話しになりません。

2007年5月18日

自賠責の保険会社に日新火災海上保険の提出した提案書について聞いてきました。
自賠責保険はJA共済でした。前もって電話で相談したい内容を伝えると、いつでも都合の良い時に来てくださいということでした。電話で担当者の名前を聞いていたので、すぐに会う事ができました。

最初に、今までの経過と、どういう事を相談したいのかと簡潔に説明し、聞きたいことを1つ1つ確認しました。担当の方は親切丁寧に応対してくださり親身になって相談にのってくださいました。

日新火災海上保険の提案書については、そんなに大きな間違いは無かったのですが、家族の通学の送迎については、必要であったという医師の診断書もしくは、その他に証明できるようであれば賠償請求できるということでした。自賠責の被害者請求の場合、医師の診断書が無くても自賠責の保険会社の担当者に直接説明し、正当であると認められれば、必要な手続きを経て賠償請求することも可能なような感じでした。

被害者の過失が多くて、任意保険の賠償より自賠責の賠償のほうが多いと思われる場合でも、自賠責の被害者請求を先にして、自賠責で賠償されない部分について、任意の損害保険会社と賠償交渉するということについては、応対してくれた自賠責の担当者の人は、あまり聞いた事が無いと言っていたのですが、改めて確認すると、JA共済の任意保険の担当者に確認をとってくださり、特別な事例ではなくて、そういう例はいくらでもあるということでした。

日新火災海上保険の担当者も加害者が任意保険を利用している場合には、被害者の自賠責請求するメリットは何も無いと言っていたけど、そうでもないという事が確認できました。

自賠責の保険というのは支払うのは国なので、自賠責で保険会社が被害者に多く払うことになっても少なく払うことになっても保険会社に損害がでるわけでは無いのだそうです。つまり、自賠責の保険というのは保険会社は取次ぎだけのようなもののようです。但し自賠責の賠償というのは、動かしがたい規定というものがあって、どういう事情であっても、賠償額は決められた既定によって算定され、情状によって賠償額が上下する余地はほとんど無いようです。

被害者の自賠責請求には

自動車損害賠償責任保険支払請求書(自賠責の所定の様式に基づいて作成)
印鑑証明書(請求者のもの)
交通事故証明書(自動車安全運転センターで交付600円)
事故発生状況報告書(自賠責の所定の様式に基づいて作成)
診療報酬明細書
医師の診断書(入院・通院証明書。自賠責請求の所定のもの。病院によっては1ヶ月以上かかる場合もあります。3500円程度。)
通院交通費明細書
休業障害証明書
被害者が未成年の場合、請求者(親権者)と被害者の関係がわかる書類(被害者の戸籍謄本か住民票)

などの提出が必要です。証明書や診断書などの書類の取得に要した費用は請求できます。
必要な書類の製作は、傷害保険での書類とそんなに違うわけではないので、難しくはありません。

2007年5月21日

今日、日新火災海上保険から電話がありました。

家族の通学の送迎については、必要であったという医師の診断書もしくは、その他に証明できるようであれば賠償請求できるということでした。
自賠責の被害者請求の場合、医師の診断書が無くても自賠責の保険会社の担当者に直接説明し、正当であると認められれば、必要な手続きを経て賠償請求することも可能であると言われたことを伝えました。

被害者の過失が多くて、任意保険の賠償より自賠責の賠償のほうが多いと思われる場合でも、自賠責の被害者請求を先にして、自賠責で賠償されない部分について、任意の損害保険会社と賠償交渉するということについては、応対してくれた自賠責の担当者の人は、あまり聞いた事が無いと言っていたのですが、改めて確認すると、特別な事例ではなくて、そういう例はいくらでもあるということを聞いたということも伝えました。

日新火災海上保険が入手した医師の診断書は、譲っていただけるのかと聞くと、被害者が被害者請求する場合も、日新火災海上保険も今までに支払った医療費を自賠責保険会社に請求しないといけないので日新火災海上保険から自賠責保険会社に診断書を提出するそうです。それで被害者は重複して診断書を提出する必要はないそうです。

2007年5月24日

日新火災海上保険から自賠責の保険会社に確認をとって、通学の交通費は賠償対象になるという連絡がありました。

日新火災海上保険に、自賠責の被害者請求を先に済ませてから慰謝料について交渉するという選択も考慮しているということと、その部分の慰謝料については裁判も選択肢にあるという事を伝えました。
とりあえず、日新火災海上保険が賠償について算定した額についての、細かい根拠の明細を出してくれるように頼みました。自賠責の被害者請求した後に、慰謝料の交渉をするにあたっても細かい明細があったほうが、こちらが請求する場合の明細を作成する参考になると思います。

2007年6月15日

日新火災海上保険から、先日送った提案書について、どうですかという電話がありました。

一応、自賠責保険の被害者請求はしない方向で考えていると答えました。

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2013年9月28日

家族が追突事故を起こしました。ほとんど止まりがけにぶつかったので、そんなに大きな衝撃はなかったようです。
こちら側の自動車は、フロントの上のほうに穴が開いたのですがそれほど凹んでいません。
相手側はタクシーで、バンパーの破損だけだと言うのですが実際には見ていないのでわかりません。警察と保険会社に連絡はしたそうです。

家族はJA共済の自動車保険に入っていました。

2013年10月7日

自動車共済金支払い請求書が届きました。
この事故について共済保険を使いますという申込書みたいなものです。
保険会社から、相手側の自動車の修理費と自動車が使えなかった期間の休業補償費が合計で14万円くらいで、その分だけ先に示談したいという連絡があったということでした。

任意保険の担当者と、直接に話をして、それくらいなら保険を使わないで、自費で支払う事を提案しました。

相手側は通院しているので、その他に治療費と慰謝料がかかるということでした。ただ、その分は、治療費と慰謝料の総額が120万円までなら自賠責保険で対応できるので、それで収まれば任意保険での負担はないので、相手側の自動車の修理費と自動車が使えなかった期間の休業補償費を自己負担すれば、等級の減少は無いということでした。

相手がタクシーだということで、一抹の不安はありますが、一応、任意保険は使わないという方向で対応していただくことにしました。
仮に、治療費と慰謝料の総額が120万円超えて、実際の負担が想定外に大きくなった場合は、自己負担した相手側の自動車の修理費と自動車が使えなかった期間の休業補償費を含めて任意保険で対応してもらうことも可能だということでした。

とりあえず自動車共済金支払い請求書は速めに送って欲しいということだったので、早急に送るよう指示しました。

2013年10月15日

共済の損保会社から、自動車共済金取下げ書と示談書が送られてきました。
自動車共済金取下げ書は保険を使わないで自分で支払いをしますという内容の書類です。
示談書は被害者に修理額約10万円と休車損害費用24000円を支払いますという内容の承諾書で振込先が記入されていました。
さっそく賠償金を振り込みました。
残りは自賠責保険でまかなわれる医療費と慰謝料の問題だけです。

自賠責保険で賄われる賠償金は、損保会社の等級に影響ないということを知っていれば、過去にもっと有利な対応ができたのにと後悔する事例がいくつかありました。結構損してるなあと思います。こういう事は知っているのと知らないのでは大きな違いです

2013年10月30日

損保会社から人身事故の損害賠償に関する承諾書が送られてきました。
結局、損害賠償(慰謝料)が11万円程度と治療費の実費で示談になったということのようです。
損害賠償(慰謝料)の11万円程度と治療費の実費は自賠責保険から支払われるので、任意の損保会社の等級は下がらないということです。
ほっとしました。

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