第3版 これで解決!困った 老朽貸家・貸地問題 坪多晶子・江口正夫著 を読みました。
宅建の資格を持っていても知らない基礎的な事を理解できて有意義な本でした。空き家にかかわるには一度は読んでおいて損はない本です。
たくさん勉強した借地借家法って平成4年に施行された新しい法律だという事は全く知りませんでした。
借地の権利金(土地価格の2割から9割)の意味が、今までよくわからなったのですが、借地権割合というのがあって、相続税だけの問題でなく、借地権って、実際の地主の権利以上のものであったりするって事を始めて理解できました。
借地権は建物がある場合のみ成立する。
定期借家権でも再契約できる。定期借家権では期間満了時の立退料は不要。書類での契約が必要。定期借家権には期限の下限・上限がない。
定期借地権の権利金は1~3割と、普通借地権の権利金と比べて低い。
一般的には更地として変換が必要
定期借地権の相続時の底地割合は期間の経過とともに上がってくる
空き室が増えると、空き室分は自用家と判断され、相続税評価が上がってしまう。
親の土地に親が建てた賃貸住宅を子に贈与した場合、貸家建付地として評価が低くなるけど、借家人が退去すると、その部分の土地が親から子への使用貸借となり、その分の土地は親の自用地として評価される。その後、賃借人が決まっても、その分の土地は親の自用地として評価され続けて相続税対策にならない。
築古物件で安く賃貸する場合は貸主の修繕義務を免除する特約も可能
高額の修繕は生前実行が相続税対策として有利(修繕しても評価額に変化がない)
固定資産税は3年毎に評価。
立ち退きや取壊しも生前に行うのが相続税対策として有利。空き室が多いと相続税対策上不利
賃貸滞納を理由の貸家契約の解除は3か月分以上 その後相当期間を定めた催告(配達証明付内容証明郵便)
10年超所有の賃貸物件を売却し、1年以内に新たに賃貸物件を所有する場合は買換特例がある
賃貸物件で借家人が死亡した場合、相続人に家賃(解約予告期間の賃料も含める)の支払いと家財の処分の責任がある
老朽賃貸住宅は物納は難しく、相続税評価で売却するのも困難
空家等対策特別措置法により、空き家の所有者の管理義務が厳しくなった。
空き家とは1年にわたって使用されていないというのが基準(相続的には1か月程度までOK)
空き家管理代行サービスはおおむね1か月1万円程度
借主負担によるDIYを自由にして、工事について原状回復義務を免除し、工事分を家賃を安くするDIY型賃貸が有利
固定資産税程度の賃料は賃貸の対価とは言えず、使用貸借扱い。この場合、立退料は不要。
一般的には固定資産税額の2~3倍相当額(相続税評価額の1%未満)が1年の地代としている例が多い
固定資産税額の2~3倍相当額の地代では分割払いの延納でも相続税が払えない
地主が持つ借地の底地のみの売買の売却価格は相当に安くなる
半面、借地権は高額で取引される
借地の譲渡承諾料は借地権(土地の価格の借地権割合分)の10%程度
増改築禁止の契約での借地の増築承諾料の目安は公示価格の3%
借地人以外の名義の建物には裁判時の対抗力が無い
貸地の立退料は借地権の買戻しとされる
会社が地主の場合、個人の賃借人が立退料を貰わずに土地を返還した場合は、立退料分は借地料を無償譲渡したとして、個人に時価の立退料の譲渡税が請求される
地主と借地人の話し合いで、借地の返還に関して建物の取壊しは地主負担で立退料も払う事になった時には、立退料も建物の取り壊しの費用も必要経費では無く、借地権の取得価額の加算になる
借家の場合は、立退料も建物の取り壊しの費用も必要経費になる。
対策としては、返還後に定期借地契約でしばらく貸すのが税制上有利(立退料は借地権の買戻し、建物は減価償却、建物の取り壊し料はは必要経費)
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