寺院消滅(鵜飼秀徳著)を読みました。
現在、全国に約7万7千の寺院があり、その内住職がいない無住寺院は約2万に達していて、宗教活動を停止した不活動寺院は2千以上あるとのことです。
不活動寺院を廃寺にしようとしても、お寺は通常独立した個々の宗教法人なので、手続きが大変のようです。住職や寺の責任者、檀家総代、寺族の所在の確認をしての手続きが必要で、そのうえ解体費用がかかるので、そう簡単にはいかないそうです。
そもそも、今のようにお寺が尊敬されない存在になった最初のきっかけは、江戸時代の寺請制度だということです。寺請制度は、地域の寺の檀家になることを強制し、寺は宗門人別改帳を通じて、檀家の管理・監視することによって国家の内部統治に協力したということです。
でも江戸時代後期から明治9年頃にかけて、廃物毀釈により仏教弾圧が行われ、多くの寺院が廃寺になり仏像などが破壊されたそうです。これにより仏教の弱体化が図られたそうです。
明治5年に「自今僧侶肉食妻帯蓄髪等可為勝手事」があり、僧侶の「肉を食べる・妻をめとる・髪を生やす」ことを解禁し、住職の世襲も明治以降認められるようになっていき、僧侶の世俗化が図られ、僧侶が尊敬の対象ではなくなっていくことになったようです。
その後、過去の戦争について、不殺生戒を真っ先に守らなければいけない立場の僧侶が、大東亜戦争に反対するどころか、多くの宗派ではゼロ戦や軍艦を国に寄付したり、戦争協力を申し出たりして戦争に加担したことにより、国民の信頼を失ったようです。
それに加えて、戦後のGHQが指導した「農地改革」により地主として多くの土地を小作に貸していた寺院所有の農地が失われ、安定した収入が失われ、寺院の弱体化が決定付けられたようです。
お寺が専業で食べていくには檀家が200軒以上ないと難しいそうです。
葬儀のお布施は地域によって随分違うようで、東京は極めて高く50万円、京阪神や名古屋は20万円から30万円、地方都市だと10万円、地域によっては3万円から5万円というところもあるようです。
檀家が少なく収入が少ない寺院も宗に収める冥加金は結構な高額で、お寺も、いろいろと大変なようです。
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