お寺の収支報告書/橋本英樹 祥伝社を読んでいます。曹洞宗の実際の住職が、現在のお寺経営のお金と制度の問題を執筆した本です。
現在のように、住職が妻帯して息子がお寺を継ぐようになったのは明治時代からのことで、せいぜい100年の歴史ということだそうです。
戒名って、戒名を授かる事によって僧侶(仏弟子)になるってことだそうです。つまり死後に出家するってことだそうです。こういう死後に出家するというシステムも江戸時代以降のものだそうです。
戒名も階級化されていて、戒名を授かる時にも階級によって支払うお金は違いますが、法事でも戒名の階級によってお布施の金額が違うそうです。
戒名なんて、いらんよねえ。最近では、俗名での葬儀も増えてきているそうです。
ちなみに檀家制度というのも、江戸時代にキリスト教禁制のために「寺請制度」というものが制定されて日本に住むすべての民衆は幕府が定めた仏教宗派のいずれかに属さなければいけなくなったのが事の始まりで「寺檀制度」「宗旨人別改帳」を経て現在に至っているそうです。
葬祭にかかる費用についても祭壇に飾る花代が何十万もするのですが、普通バラ1本100円もしなく500本飾っても5万円にもならないなんて事も書かれていたりします。
葬祭業者に僧侶を頼んだりした場合でも僧侶のお布施の半分以上を中抜きされる例も少なくないそうです。葬儀には複数の僧侶が関わることが多いのですが、中心になる僧侶(導師)に、残りの僧侶(脇導師)を呼んでもらう場合も、僧侶(導師)に中抜きされるのが一般的との事です。葬祭業者に頼んだ場合、僧侶(脇導師のお布施は、葬祭業者とと僧侶(導師)に2重に中抜きされることも多いようです。
墓地については、「埋葬又は焼骨の埋葬は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」という法律があり、散骨や自然葬も厳密に言うと法律違反になるようですが黙認されているそうです。
墓地は、市町村などの公営、公益法人(認定が難しい)、お寺が関わる墓地の3種類が中心ですが、石材業者などが運営している墓地は、お寺の名義だけ借りて運営している場合が多いそうです。お寺から管理と運営を委託されている形をとっているそうです。墓石を販売して、墓が売れなくなった墓地は、お寺に運営の権利を渡してしまうという例も多いとの事です。お寺は土地が増えて、年間の管理料や護持会費が入ってくるのでお互いの利害関係が一致するということです。
それだけ墓石の利益が多いということなんでしょうが、墓石の原価率って150万円から200万円の墓石で問屋原価が30万円ほどだそうです。もちろん加工も必要だし、年がら年中墓石の需要があるわけではないでしょうけど。
お寺が経営する墓地では、お寺に入る墓石のマージン(お水代)は10~20%だそうです。その他に建墓手数料や別途志納金を納めてくださいと言われたりするようです。
墓地には、年間の管理料や護持会費などは別途かかります。永代使用料を支払っても年間の管理料や護持会費を払い続ける必要があります。年間の管理料や護持会費を払わなければ墓は撤去されますし永代使用料も返還されません。
筆者である僧侶は、それらの矛盾した制度を廃止したうえで、お寺の運営を続けているとのことです。読んでみる価値はあると思います。
まあお寺がたくさんあるのも金沢の要素の1つなのでお寺が無くなっていくのも寂しいものがありますが、今のままで良いって感じもしませんよねえ
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