これから人口も減少し、空き家が増える事が確実なので、空き家について考えてみました。宅建の勉強をする前に、妻の実家が空き家になった時に、居住3年以内3000万円の控除を受けるために、時間の猶予が無く、まんまと不動産屋の餌食になった事があるので、もともと関心があったのです。
関連の本を探すと「あなたの空き家問題 上田真一著」という本が見つかったので読んでみました。
2013年の調査で、全国に空き家が820万軒あったそうで、2033年には空き家は2000万軒を超えると予想されているそうです。なんと3戸に1戸が空き家になるという事です。不動産の価格が下がっていくのは必然ですね。
まあ人口が減少しているっていうのも空き家が増える原因でもあるけれど、こういう状況なのに新築住宅が増え続けているのが大きな要因のようです。短期的な景気回復のために、新築住宅をどんどん建てさせる制度を採用しているって面も大きいようです。
それとは別に、相続された不動産を有効利用できない、高齢者が施設に入って持ち家が放置されているという例も多いようです。
空き家は、閉めっきりにしていると湿気が貯まるので老朽化が進み、シロアリが発生しやすくなります。樹木の繁茂を放置しておくと、落葉が雨どいを塞ぎ、雨漏れの原因になります。建材の飛散、不法投棄の増加、やぶ蚊の大量発生、ネズミの被害、放火、不審者の侵入なども起きやすいです。
1か月も放置すると、室内の空気はどんよりしていて、庭の雑草がひどく、やぶ蚊が増えて、ゴキブリの糞や死骸やクモの巣があちこちで見られたりします。夏などは1か月で雑草が人の背丈ほどになる事もあるそうです。
空き家を管理しようとしても、離れている場合は交通費がかかるし、誰かに管理を頼むと毎月の費用がかかります。
使わなくても水道料・下水道料・電気料がかかります。固定資産税・都市計画税もかかります。
最近では、全国の市町村で空き家等対策特別措置法が制定されて、近所から市町村に苦情があった場合に、適正管理を促す助言、次に指示、次に勧告・命令とエスカレートし、罰金や氏名・住所が公表され、最終的に行政代執行が行われます。
ここまで行くと大変な事になります。
空き家を貸そうとすると、そのままでは借り手が付かず、お金を使ってのリフォームが必要になり、それでも借り手が見つかる保証がありません。借り手が見つかっても、給湯器が壊れれば貸主が費用を負担して交換しなければいけませんし、雨漏りがすると高額の修理費がかかる場合もあります。古い家だから、その分安くしているなんて言い訳は通用しません。場合によっては赤字になる事もあります。
空き家を店舗として使われると、固定資産税が高くなります。
空き家を解体しようとすると、解体費用が、一般的な木造住宅の場合でも百万前後の費用がかかります。
地価の安い地域だと解体費用が売却価格より高くなってしまう場合もあります。
空き家を解体して更地にすると固定資産税は6倍になりますし、解体してしまうと、いざ建物を新築しようとすると建築許可が下りなくて建物を建てられないという土地もあります。
空き家を処分しようと思っても、持ち主が認知症になるような事にでもなれば、もうお手上げです。売る事すらできなくなります。
踏んだり蹴ったりです。
どう考えても不動産価格は下がる運命になります。使う予定の無く需要があるか判らないような住宅は、売れるうちにさっさと処分するのが賢明です。
価値が安い不動産は、諸経費を考えると、不動産屋にとっても、赤字になってしまうので扱いを避けたがります。
そういう物件のために、自治体が空き家バンクという制度を実施しています。安くしか売却できませんが経費をかけて持ち続けるよりはましです。
そういう意味では格安で住宅を入手したい人は、空き家バンクに登録されてる物件から良い物件を見つけてリフォームして住むという選択はあるのかもしれません。ただし将来、処分するのに苦労するかもしれません。
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