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60才以降の社会保険負担は不条理




厚生年金のしくみ
厚生年金に支払うお金は、基礎年金部分と報酬比例部分を加えたものになります。

基礎年金部分は国民年金と同様、税金が投入されていて、国民全体からすると現時点では支払った金額より余計に返ってくる仕組みになっています。

それに対して、厚生年金の比例部分というのは、元々かなり効率が悪くてローリターンになっています。
基礎年金分と違い、厚生年金の比例部分には国の税金は投入されていません。加入者が支払った厚生年金の報酬比例部分は、実際に加入者が受け取る年金のほかに、厚生傷害保険、加入者の配偶者の年金保険料、厚生年金の施設、厚生年金の運営費に使われます。
サラリーマンや公務員など厚生年金に加入している人の配偶者の基礎年金分の年金保険料は負担無料で厚生年金加入者全員の負担で賄われます。
つまり加入者が支払った厚生年金の報酬比例部分で、受け取れる年金に使われる費用は一部でしかありません。
60才以降の厚生年金負担
厚生年金に支払うお金は、基礎年金部分と報酬比例部分を加えたものになります。
それは何才であろうと関係ありません。
報酬比例部分は何才であろうと関係なく受給する年金額に反映します。
でも基礎年金部分は、20才から60才までの480か月だけしか反映されません。
それ以外の期間に支払った基礎年金部分は、全く基礎年金額には反映しないのです。
つまり、本人が60才以上で480か月の年金を払ってしまっていて、配偶者が130万円未満の20才から60才までの配偶者がいない場合は、基礎年金部分は全く無駄になります。
社会保険に加入していて70歳未満の人にとっては、厚生年金は強制加入です。
本人が60才以上で480か月の年金を払ってしまっていて、配偶者が130万円未満の20才から60才までの配偶者がいない場合は、社会保険の負担料は一段と効率が悪くなります。
なにしろ国民年金保険だと社会保険で徴収されている収入の18.3%の年金分の負担がゼロなんですから。
18才から社会保険に加入している会社で働いて、58才時に国民年金に加入していて480か月の年金を支払った場合は、それ以後から60才までの国民年金は全く年金額に反映されない無駄払いということになります。
このあたりは年金制度の欠陥だと思います。480か月年金を支払った人は基礎年金分の負担を無くするのが公平というものだと思います。
経過的加算
60才以上で、社会保険を負担している人全員が全く無駄な負担を強いられているかというと、そうでも無いのです。
60才以上70才未満の人で、支払った年金が480か月に満たない場合は、社会保険に加入していると経過的加算が付いて、基礎年金の減額分が補填されます。
48か月の年金未納がある場合には、1年分196,920円(毎年年金の負担料は変わります)の負担で経過的加算として毎年19,600円程度の加算があります。4年分787,680円支払えば毎年8万円程度の経過的加算がもらえます。つまり4年支払った分は10年で元が取れることになります。
60才以上で支払った年金が480か月に満たない場合とは、どんな場合があるかというと、学生時代や無収入だった時に、年金の猶予の手続きをした場合とか、支払わなかった場合などです。
社会保険の加入を避ける方法
社会保険の加入を避ける方法があります。

1つの目の方法は、会社は社会保険に加入しても役員であれば非常勤の役員にしてしまう事です。非常勤の役員は社会保険に加入しないで国民保険のままでも良いんです。ただし、社長は非常勤ではいけないようです。

もう1つは、会社を株式会社で無くする事です。株式会社でなければ社会保険に加入しなくても大丈夫です。ただし、従業員が多い場合は株式会社でなくても社会保険に加入しなければいけません。

ここで株式会社から個人事業に変更した時のデメリットについて列記しておきます。
・個人事業の場合は、事業主は給与制でないので、赤字が出た時には、すべての損失が事業主の報酬に影響する
・借金が必要になった場合も、事業主の責任で事業主の借金になる 株式の場合は個人資産の差し押さえが無い
・個人事業の場合は、倒産した時も事業主1人の責任として追及される
・個人事業の場合は赤字を翌年以降に繰り越しできる期間は3年。株式会社は繰越期間が9年。
・個人事業の方が利益が出た時の税金が大きい 節税の方法が限られる
・個人事業の方が役員報酬の税金が高い(給与所得控除の関係)
・株式会社は退職金や自動車費用全額が経費で処理できる
・株式会社は生命保険が経費になる
・個人事業の場合は、株式会社のように事業を存続発展するという目的が無く、事業主以外の士気が下がる
・個人事業では対外的な信用がないので事業への影響がでる場合がある
・株式会社から個人事業に組織替えする時の手続きが必要で、諸経費がかかり、印刷、印鑑など全部変更

社会保険から国民保険に移行する期日については、月初めであろうが、月の途中であろうが有利不利は無いようです。基本的には月末の状態が、その月の保険料に反映するようです。
家族経営の株式会社で無駄な厚生年金を節約するには
家族経営の小規模な株式会社にとって、社会保険は大変な負担になります。従来は、そういう会社が社会保険に加入せずに国民健康保険に加入してても大目に見てくれる雰囲気がありましたが、年金財政が困窮してきて、そういう会社に対して、厳しく対処するようになりました。強制的に社会保険に加入させ、過去にさかのぼって社会保険料を徴収する例もあるようです。
社会保険の半額負担が惜しくて、社員の事を考えないで社会保険に加入しない悪質な会社には、そういう対処もありかもしれませんが、小さい規模の同族会社にとっては、自分たちの将来を考えたら、少しでも多額な年金が保証された方が良いのは分かっているのだけど、生活できないとどうしようもないので、社会保険料を負担できなくて、仕方なく国民保険のままにしている例もあると思います。
払いたくても払えない、それこそ、社会保険の負担に耐えられなく、もう会社を存続できなくなって廃業なんて話もあります。
そういう悲劇を招かないために参考になる情報を集めました。

もし、配偶者や家族が無職の場合は、社員(もしくは役員)として収入を配分すると有利な場合があります。
もし、配偶者や家族が無職で、収入を配分して配偶者を社会保険に加入せずに社員にする場合は、配偶者の収入を130万円未満にして、しかも本人の収入の2分の1以下にするのが有利です。
その場合は配偶者の保険料(年金、医療保険、介護保険料)は支払わなくても良いですし、しかも本人の保険料と税金が安くなります。
この場合は配偶者が60才以上でも妻の分の経過的加算はつきません。

配偶者が60才以上70才未満で支払った年金が480か月に満たない場合は、配偶者も社会保険に加入すると経過的加算が付いて、基礎年金の減額分が補填されます。
夫婦そろって60才以上70才未満で妻のほうに年金の未納分がある場合、自分の給与を130万円未満にして妻の給与の2分の1以下にして自分を非常勤の役員にすれば社会保険料の節約としては完璧です。税金も減額になります。
家族経営の株式会社で社会保険に対応するために給与を調整 2020年基準
まずは、現在の報酬(もしくは給与)と、現在支払っている国民保険の負担料を把握することから始めます。
次に現在の報酬(もしくは給与)のままで社会保険に加入した場合の本人負担と会社負担を計算します。

社会保険の負担料を計算する場合は、1年を通じた給与・賞与を12で割った報酬月額を計算し、その報酬月額が、どの段階に含まれるかで、標準報酬月額が決まります。
報酬月額が93,000円未満の場合は標準報酬月額は88,000円、報酬月額が93,000円以上101,000未満は標準報酬月額が98,000円と段階的に決められています。
標準報酬月額によって、負担する社会保険料が決められます。
社会保険料は、通常の医療に対する厚生年金保険料(18.3%)、健康保険料(9.99%)、介護保険料(1.73% 4才から64才)からなります。
それとは別に子ども・子育て拠出金(0.34%)、雇用保険(会社が2/3負担)、労災保険(会社が全額負担)も負担も必要です。

介護保険料は、地方自治体によって負担料が違います。
標準報酬月額と社会保険で負担する保険料は全国健康保険協会https://www.kyoukaikenpo.or.jp/でホーム/健康保険ガイド/保険料率/都道府県毎保険料額表 と辿っていけば、調べることが出来ます。厚生年金保険料は月額で掲示されてているので1年での負担額は12倍になります。
これらの社会保険料の半額は個人負担で、残り半分は会社負担です。

厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険、労災保険の会社負担分を年間の報酬額から引くと会社負担は増えないことになります。ちなみに家族経営の株式会社の役員は雇用保険、労災保険に加入できないので計算しなくても良いです。

なお、普通の社員の給与はいつでも変更可能ですが、役員の給与は税制的に1年に1回しかも決算日後3か月以内しか変更できません。
ちなみに社会保険料は4月から6月の報酬で9月から8月の分が決まり、大きな変更があった場合は4か月後から変更になります。
新規に社会保険に加入の場合は、加入前の報酬は関係なく、加入後からの報酬を申告しての保険料計算になります。