フードバンクという挑戦

8年前に出版された本なのですが「フードバンクという挑戦(大原悦子著 岩波書店)」という本を読んでいます。
それによると、賞味期限が切れるどころか、表示の不具合や、缶や箱の変形により捨てられる食品が大量に存在しているようです。生鮮食料品においても傷がついていたり形が良くないので商品としては販売できないものがあります。
フードバンクでは、賞味期限が切れていなく商品として販売できない食品を寄付してもらい、施設(教会や炊き出し、難民支援団体、女性シェルター、児童養護施設)や困っている人に無料で配っています。
アメリカでは教会の地下などに食糧倉庫を持っていて、食べ物に困った人がいつ駆け込んでも大丈夫なように保存のきく食品を常備しているそうです。他に月に数回、地域の生活困窮者に食べ物を無料で配っているそうです。そういう施設にもフードバンクが食料を配っているそうです。
アメリカイリノイ州シカゴではで有給スタッフ130人フットボール場5面分の広さの倉庫という規模のフードバンクが存在するそうです。それだけの規模のフードバンクがそれがイリノイ州クック郡だけを対象に活動しているそうです。もちろん、有給スタッフだけで活動しているわけでなく多くのボランティアが協力しています。有給スタッフの給与やフードバンクの施設は個人及び会社による寄付で賄われているそうです。アメリカって凄いです。
アメリカでは1996年にビル・エマーソン食料寄付法というのが制定されていて、善意で寄付した食品が原因で、万が一なんらかのトラブルが起きたとしても故意や重大な過失によるものでない限り、寄付した人は民事・刑事責任に問われないという法律だそうです。
その他にもアメリカでは、企業は課税所得の10%、現物寄付の場合は原価の2倍を上限に税金控除が受けられる制度もあるそうです。
そういう制度があって、企業がフードバンクに食品を寄付しやすい環境が出来上がっているようです。

日本でもフードバンクは存在するのですが、最初に東京(南千住)でできたフードバンク2HJも、2番目に関西(芦屋)でできたフードバンクもアメリカの個人が始めたもので、食料を寄付した企業もコストコなど外資の企業だったようです。
フードバンクでは個人に食料を提供することは原則としては無いようですが、2HJでは野宿者のための炊き出しを週1回していたり、個人に月1回食料を送ったりしているそうです。
ただ、日本では、そういう活動に寄付するという土壌がなく、人助けをすることを恥ずかしがるという国民性があり、なかなか活動が拡大していかないそうです。食料を受け取る側でも食料を貰うという事に抵抗がある人が多いという面もあるようです。ボランティアに関しても気軽に楽しく参加して仲間づくりをしたいという目的にしている人が多く、アメリカとは意識の違いが大きいそうです。

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